ヒト由来の腸内細菌 コッカスAD株
腸内細菌と免疫力
異物と戦う免疫細胞
「免疫細胞=白血球」は、すべて「造血幹細胞」からつくられています。
「造血幹細胞」は骨髄でつくられ、すべての血液細胞に成長することができる「血液の種」のような存在です。
「免疫細胞」は「造血幹細胞」によって、主に骨髄、胸腺でつくられます。
からだの中では多種多彩な免疫細胞群(白血球の仲間達)が、緻密な連携を組んで異物と戦っています。
免疫系の確立と腸内細菌
ヒトの正常な免疫系の確立に、腸内細菌は重要な働きを担っています。
ヒトは、新生時には母体からの免疫(受動的免疫)を獲得していますが、能動的免疫は確立していません。
この能動的免疫の確立に最も重要な働きを持つ要因が腸内細菌の定着です。
ヒトの腸内細菌叢は4週齢以後に比較的安定した状態になりますが、この間に能動的な免疫系が確立していきます。
その過程は次の通りです。
- 腸内細菌が消化管壁に定着→腸内細菌が産生した物質が消化管を形成する細胞に送りこまれる
- この物質を、まずマクロファージが取り込み、T細胞にこの情報を伝達
- T細胞は、さらにこの情報をB細胞に伝達
- こうして消化管の粘膜固有層に存在する活性化されたリンパ球(T細胞、B細胞)は、腸間膜リンパ節に達し、さらに胸管へ移行後、脾臓に到達
- 活性化されたリンパ球は、短期間脾臓に留まった後、再び元の粘膜固有層(消化管壁近くの組織)に帰着
- ここでB細胞は、プラズマ細胞に分化し、免疫系の主体である抗体・免疫グロブリン(Ig)を分泌
こうして、消化管全域のリンパ系細胞が活性化され、全身にわたる正常な免疫系がつくり上げられるのです。
- *無菌の動物では腸内細菌による刺激がないために、異物の排除に働く抗体(Ig)の血液中のレベルが正常動物の10%~50%程度であることがわかっています。