ヒト由来の腸内細菌 コッカスAD株

腸内細菌と免疫力

人間の腸内には100兆個以上もの細菌が棲み着いています。
腸内細菌は善⽟菌、⽇和⾒菌、悪⽟菌がバランス良く集まって「腸内フローラ」と呼ばれる花畑のような状態をつくっています。
腸内環境が乱れると、制御性T細胞(Tレグ)が減少し、アレルギー症状や自己免疫疾患などが生じることもあり、免疫と腸内環境は密接に関係しています。免疫力を高めるには、腸内環境を整えることが重要です。

「異物」を排除―細菌やウィルスと戦う免疫系

体の外から病気を引き起こすウィルスや病原菌、毒素などが侵入してきたとき
あるいは、自己の細胞が変質し、ガン化するなど「本来の自分ではない」細胞が出現したときなど 「自己」か⇔そうでない(自分ではない=「非自己」)かを識別し、「非自己」=「異物」を捉えたときにこれを攻撃・殺傷、排除する機能のことを「免疫」といいます。
マクロファージ、リンパ球(B細胞、T細胞)などの細胞、およびこれらの細胞が放出する物質が互いに協力しながら複雑なネットワーク(免疫系)をつくって、生体防衛の役割を果たします。
例えば、ヒトの一生の間には10億回もガン細胞の発生する機会があるといわれていますが、ヒトが簡単にガンにならないのは、免疫系がガン細胞の発生と増殖を防いでいるからです。

物事が度重なってそれに慣れてしまうことを「免疫がついた」などと表現することもありますが本来は、「疫病(病気)を免れる」機能が「免疫」で、その働きのことを「免疫力」といいます。

免疫細胞

「免疫細胞=白血球」は、すべて「造血幹細胞」からつくられています。
「造血幹細胞」は骨髄でつくられ、すべての血液細胞に成長することができる「血液の種」のような存在です。
「免疫細胞」は「造血幹細胞」によって、主に骨髄、胸腺でつくられます。
からだの中では多種多彩な免疫細胞群(白血球の仲間達)が、緻密な連携を組んで異物と戦っています。

免疫細胞(白血球)の種類と役割

免疫細胞(白血球)は、大別すると「単球」「リンパ球」「顆粒球」の3つに分類され、さまざまな役割を分担しています。

単球

●マクロファージ

体内に侵入してきた異物を見つけると貪食し、これを消化・殺菌することにより感染を防ぐ役割を担います。
また、マクロファージは他の白血球を感染部位に引きつける物質を分泌し、「外敵襲来」を仲間に知らせ、援軍を呼びます。

●樹状細胞

マクロファージがヘルパーT細胞に信号を送る際、重要な働きをします。
抗原を取り込み、分解し、T細胞が「敵」を「敵」として認識できるよう、その「存在」を示します。

リンパ球

●T細胞

T細胞は骨髄の中の造血幹細胞からつくられ、胸部にある胸腺と呼ばれる器官へ移動します。
T細胞はそこで、体の組織を攻撃しないように自己と非自己を区別する方法を学びます。
T細胞は、①ヘルパーT細胞、②キラーT細胞、③制御性T細胞の3種に分けられ、それぞれ「司令塔」「殺し屋」「クローザー」の役割を持ちます。

①ヘルパーT細胞は、

他の免疫細胞を助ける働きをします。
マクロファージから情報を受け取り、B細胞に抗体をつくるよう指令を出したり、免疫を活性化させるサイトカイン*を産生し、戦いを支援したりする役割を担います。
また、マクロファージを活性化させ、感染した細胞や異常細胞をより効率よく捕食するのを助けたりします。

*サイトカイン
サイトカインは免疫系の情報伝達物質です。
敵を発見したマクロファージやTヘルパー細胞など、特定の細胞がサイトカインをつくります。
サイトカインは、キラーT細胞の殺傷力を高めたり、抗体生成を担うB細胞を活性化させたり、あるいは問題個所に仲間を呼び寄せ、炎症を修復させたり、攻撃の停止、抑制に働く制御性T細胞(Tレグ)の活性化を促したりします。

②キラーT細胞は、

樹状細胞から情報を受け取ると、ウィルスが感染した細胞やがん細胞にとりつき、敵の細胞膜に穴を開け、内部に酵素を注入し、殺傷します。

③制御性T細胞(Tレグ)は、

キラーT細胞の過剰攻撃(例えば問題のない細胞や自身の正常な細胞を攻撃してしまうなど)を制御したりB細胞が不必要に抗体をつくり過ぎないよう抑制したりする役目を持ち、戦いを終了に導く役割を担います。

●B細胞

B細胞の主な役割は、抗体をつくることです。
抗原(病原菌)に応じた抗体=いわば「武器」をつくり、攻撃をバックアップ、ないしは敵を無力化するのに役立ちます。
また、抗体は抗原(敵)に取り付き、その存在をT細胞に知らせる「標識」にもなります。

●NK細胞

形成された瞬間から敵を殺す能力を備えているため「生まれながら(Natural)の殺し屋(Killer)」と呼ばれています。
NK細胞は、殺傷力が高く、常に体の中をパトロールしている細胞で、ウィルスに感染した細胞やがん細胞など「敵」を発見すると、誰からの指令も受けず、単独で攻撃をしかけます。

顆粒球

●好中球

感染に対して最初に防御を行う免疫細胞の1つで、細菌や様々な外来細胞を捕食します。
これらの細胞を殺したり消化したりするのを助ける酵素を放出します。

●好酸球

主な役割の1つに、寄生虫に取りついて動けなくし、殺傷を助ける働きをします。
敵を見つけると、酵素や毒性のある物質を放出します。放出された物質は標的の細胞膜に穴を開けます。

●好塩基球

敵(例えばアレルギー反応を引き起こす抗原)に遭遇すると、ヒスタミンを放出します。
ヒスタミンは、損傷した組織への血流量を増やし、腫れや炎症を引き起こします。
また、好塩基球は、好中球と好酸球を問題部位に引き寄せる物質をつくります。

腸内細菌と免疫系の確立

ヒトの正常な免疫系の確立に、腸内細菌は重要な働きを担っています。
ヒトは、新生時には母体からの免疫(受動的免疫)を獲得していますが、能動的免疫は確立していません。
この能動的免疫の確立に最も重要な働きを持つ要因が腸内細菌の定着です。
ヒトの腸内細菌叢は4週齢以後に比較的安定した状態になりますが、この間に能動的な免疫系が確立していきます。
その過程は次の通りです。


  • 1. 腸内細菌が消化管壁に定着→腸内細菌が産生した物質が消化管を形成する細胞に送りこまれる
  • 2. この物質を、まずマクロファージが取り込み、T細胞にこの情報を伝達
  • 3. T細胞は、さらにこの情報をB細胞に伝達
  • 4. こうして消化管の粘膜固有層に存在する活性化されたリンパ球(T細胞、B細胞)は、腸間膜リンパ節に達し、さらに胸管へ移行後脾臓に到達
  • 5. 活性化されたリンパ球は、短期間脾臓に留まった後、再び元の粘膜固有層(消化管壁近くの組織)に帰着
  • 6. ここでB細胞は、プラズマ細胞に分化し、免疫系の主体である抗体・免疫グロブリン(Ig)を分泌

こうして、消化管全域のリンパ系細胞が活性化され全身にわたる正常な免疫系がつくり上げられるのです。
*無菌の動物では、腸内細菌による刺激がないために、
異物の排除に働く抗体(Ig)の血液中のレベルが、正常動物の10%~50%程度であることがわかっています。

免疫細胞の暴走

自己免疫疾患は、身体を守るための免疫が正常に機能しなくなり、自分自身を攻撃してしまう病気です。
一方、アレルギー疾患は、外から侵入してきた異物、例えば小麦や卵、花粉など、本来特に害のないものに対し、免疫細胞が過剰に反応し、正常な組織を傷つけるような攻撃を仕掛けてしまう病気です。
いずれも、「免疫細胞の暴走」が原因といえます。

免疫細胞の暴走の一因は、制御性T細胞(Tレグ)不足

キラーT細胞は、「殺し屋」と呼ばれる細胞で、敵に向かって攻撃をしかけますが、制御性T細胞(Tレグ)が攻撃停止命令を出さない限り、攻撃を止めません。
また、戦いの武器となる「抗体」をつくるB細胞ですが、B細胞も同じく、制御性T細胞(Tレグ)が中止命令を出すまで、抗体をつくるのを止めません。
本来、抗原に対し適量の抗体をつくり、武器とすべきところ、歯止めなく過剰につくり続けてしまった抗体が本来敵ではない細胞を攻撃する武器となってしまうことがあります。 つまり、攻撃を制御したり、終了に導く役割を担う制御性T細胞(Tレグ)が必要量十分に存在し、且つ、正常に機能しなければ、免疫細胞の暴走が起こるといえます。

制御性T細胞(Tレグ)が不足するのはなぜか

未分化な、つまり、まだキラーT細胞にも、制御性T細胞(Tレグ)にもなっていない卵のような状態にある免疫細胞は、短鎖脂肪酸(腸内フローラがつくる酪酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸)によって遺伝子が切り替えられ、制御性T細胞(Tレグ)となります。
短鎖脂肪酸の生産量が落ち込めば、制御性T細胞(Tレグ)の生成も不足します。

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